第6回
職員満足度を上げる
収益を上げるには2つの方法しかありません。
診療報酬を軸とした収入の増加と、経費の削減です。そんな簡単なことはわかっている、当グループは、乾いた雑巾を絞るようにして経費を削減している、という声が聞こえてきそうです。
CX3の効果の一つに「顧客の離反を防ぐ」という項目があります。顧客には、第4回で、3種類あると説明しました。
まず、注目するのは「間接顧客」です。最大の間接顧客である職員に注目します。まず職員満足度を向上させて、経費を削減して、収益を上げることができるかどうかを考えてください。
今まで経費の削減といえば、研修費や福利厚生費等の経費でした。これは確かに一時的な効果があったとしてもボディーブローのように組織の体力をも奪うだけでなく職員満足度も低下します。そのことは既にご存知と思います。
顧客である職員が、所属している組織に対してロイヤリティを持ち、高いモチベーションを維持しながら長く働く環境をつくることが、経費削減の道筋です。
最も大きく期待できるのは、採用経費ですが、医療機関の事情によっていくつかの可能性があります。主なものを挙げてみます。
①中途採用の際の紹介手数料があげられます。1人当たり100万円程度かかります。いくら支払っていますか?
②モチベーションの高い職員が継続的に勤務すれば、患者との関係は良好になります。その結果、コミュニケーションのミスや、気持ちのすれ違いが原因で発生したクレームが減少します。その対応に職員の時間が取られるだけでなく、発展し損害金を支払わなければならない場合もあります。支払っている損害金のうち、支払わなくてもよいものはありませんか?
③医師賠償保険の保険金が減少する可能性があります。患者とのコミュニケーションはもちろん、職員同士のコミュニケーション不足が原因で発生する医療事故や過誤を防止できる可能性があります。その結果保険の支払いが減少し、保険料が減少する可能性があります。
医療機関の事情によって違うと思いますが、これらの経費の削減は利益と直結しています。また共通することは、これら3つの経費は病院のノウハウになるわけではなく、単にコストとして支払われている性質のものだと考えます。特に①の中途採用の費用はその最たるものと思われます。
では、職員が高いモチベーションを維持するためにはどのような対策があるのでしょうか?
次回は私たちが経験した事例も含めて考えていきます。