第11回
グッドマンの法則3(顧客にロイヤリティを持たせる)
前回は、クレーム対応を軸に、職員のモチベーションを上げて、顧客を離さないことを目的にする施策でした。もう一歩進んで、顧客がロイヤリティを感じて来院されるように努めている、あるいは治療を受けるようにするにはどのような対応をするかを考えます。
ある院長が私に「うちの病院は、ディズニーランドを目指している」言われました。その時は、変なこと言うなぁとしか感じることができなかった悲しい自分を思い出すことができます。
ディズニーランドは、来院者の期待よりも高いサービスを目指していると聞きます。そこが、他の遊園地やテーマパークと違う点です。顧客は、予測していた以上の楽しさや応対に出会うことができるのです。その結果顧客がディズニーランドに特別な感情を抱き、単なる顧客から熱狂的な顧客(ファン)に変化していくのです。
ではどうすれば、顧客をファンに変えることができるのでしょうか?
グッドマンの法則というのを前回説明しましたがもう一度おさらいしましょう。
第一法則
不満を持った顧客のうち、苦情を申し立ててその解決に満足した顧客の再利用率は、不満を持ちながら苦情を申し立てない顧客の再利用率と比較して極めて高い。
言い換えれば、クレームを表明した人の方が、何も言わない人よりもファンになる可能性が高いということです。但しその条件として、クレームの対応を的確にしなければなりません。これは、初期クレーム対応が最も大切なことです。すべての職員ができるようになることはもちろん、クレーム対応の院内基準や業務フローが必要です。
第二法則
苦情処理に不満を抱いた顧客の悪口のクチコミの影響は、満足した顧客の好意的なクチコミに対して2倍も強く販売の足を引っ張る。
悪い噂はすぐに広がるといいます。良い噂の10倍のスピードで拡大するそうです。人は本能的に悪い噂を話すのです。悪い扱いを受けた自分のプライドの回復、名誉を回復しようとする名誉欲、そして相手を貶める征服欲等が働くようです。だから悪口は楽しく、人に話しやすいのです。止めることはできません。
第三法則
企業が行う消費者教育によって、その企業に対する消費者の信頼度が高まり、高位的なクチコミの波及効果が期待されるばかりか、商品購入意図が高まり、且つ市場拡大に貢献する。
良い噂は広がりにくいです。多くは、人にその組織のことを尋ねられた時に話す場合が多いです。そして何かを決定するときに大きな影響を与えます。
実際、私たちがコンサルタントをしている医療療養型の病院では、入院患者の1/3が、身内が入居していたから、知り合いが良かったと言っていたからという、いわゆるクチコミが入院のおおきな決断の要因でした。
今回の結論は、
第1点
まずクレームが発生した場合の対応によって結果が全く違ってくることです。
クレームをうまく処理することにより、クレームを言ってきた患者は病院に対してロイヤリティを持つ可能性が高くなります。少なくとも、対応に失敗して病院に失望した患者は、悪い噂を拡散しますが、それと比較しても、悪い噂を拡散する可能性はありません。
第2点
クレームを事前に察知し、患者目線の業務改善を繰り返すことにより、患者の期待を裏切らないような対応が可能になります。
これら2つの対策がその結果、大きな経費を使うことなく新規の患者を獲得することができます。それも長い期間を通じて。新たな患者の獲得が継続し、良い人からの紹介患者は患者のレベルが向上し、最初から病院に特別な気持ちをもって来院してきます。その結果、患者家族と職員の関係が円滑になり、働きやすい職場になるのです。
クレームをツールにして、職員満足度を向上させる取り組みは、結果的に患者満足度も向上させる取り組みになるのです。