第5回
顧客満足を上げる取り組みの費用対効果
前回は顧客について考えました。
顧客満足度を上げるための研修や仕組みを導入し改善するためには、良いことであると皆さんが考えています。しかし、その効果がわからず、導入をOKしない組織が多いのです。実際当社が営業して企画書を提出しても「効果があるかどうかわからない」と言われます。実際に顧客満足度向上の仕組みの導入は、非常に良い取り組みである。しかし、目に見えるものではない。と言われます。
「表面化していないが、顧客の不満足は、収益に悪い影響を及ぼしている。対策をたてれば、○百万円の収益が改善できる」という説明をしなければ経営者層はOKしないと思います。
クレーム対策と収益改善との関係を証明したのが前回説明しましたCX3.0なのです。
従来のクレーム対策の多くは、発生したクレームに対してどのようにうまく対応して処理するというものでした。今でも研修のご依頼のなかには、「困った患者対策」をどのようにすればよいかというものが多くあります。確かに個人のクレーム対応レベルが上がります。しかし、個人的なレベルを向上させるだけで組織と視点も取り組みがかけているために、毎年毎年、初期クレーム対応研修をする必要があるのです。これでは、もぐらたたき的対応であり、クレームがなくなりません。多くの医療機関はまだこのステップで止まっているところが多いのが現実です。
次のステップは、組織として患者の苦情を聴き、解決して患者満足度を向上させるという動きが出てきました。患者との関係を良好にして、患者を逃すことなく、他との差別化をしていこうとする施策でした。発生したクレームの原因を追究して、解決案を考え実行するというものです。その結果同じような原因で発生するクレームが減少するというものでした。クレームは減少したでしょうか?このやり方は顧客の不満を見つけ出し、解決することにより顧客満足度を上げるというものです。そして顧客との関係を良好に保ち、他と差別化するというものでした。しかしながら、費用対効果が可視化できずに、結果的に経営に余裕のある医療機関しか継続的に導入できませんでした。たとえ導入したとしても、なかなか経営数値に反映されず、結局うやむやになってしまった例が多いです。
クレーム対応にしても、原因を追究し、再発を防止できたとしても、顧客の期待は限りなく上がり、「もぐらたたき」から「いたちごっこ」になってしまった医療機関も多くあり、費用だけが増加して、費用をかけるほどの効果があまり見られず、せっかく導入しても見直しをあきらめる病院も出てきているようです。
では、この回の冒頭に言いました、効果が可視化できるようにするにはどのようにすればできるかを次回以降考えていきましょう。