お悩み解決事例

CASE02

院内の雰囲気が暗い

挨拶からはじめよう

そんな初歩的なこと?と驚かれるかもしれませんが、 挨拶が習慣づけられている病院は、一般に離職率が低く、医療訴訟も少ないといわれています。 挨拶は自己開示の第一歩。医師が出勤時に看護師と一緒になったら、「おはようございます。今日はちょっと曇っちゃいましたね」と一言。看護師同士が休憩室で出会ったら「こんにちは。今日はお忙しいですか?」と一言。要は、自分が相手に興味を持っている、コミュニケーションを深める準備がある、と示すのです。そこから会話が広がり、相手の仕事に対する理解を深めることにもなるでしょう。その理解が緊急時に役立ったり、患者さんの小さな不満をすくい上げたりできるツールになります。

患者さんは、職員の身だしなみや自分への話し方だけでなく、窓口や目の合った職員が自分に挨拶してくれるか、また職員同士が換拶をしているかを見ています。 職員が廊下をただ忙しく行き来するだけで、互いに会釈すらしない病院なら、その冷酷なイメージにおののいてしまい、自分の不調についても鼻であしらわれそうで、暗い気持ちになるでしょう。 「こんにちは。お顔の色が悪いようですが、大丈夫ですか?」など、ちょっとしたことでも患者さんに温かく声を掛けるようにしましょう。患者さんが喜んでくれるだけでなく、声を掛ける過程で相手を観察しているわけですから、患者さんの情報がそれだけ蓄積され、医療過誤を防ぐことにつながります。

また挨拶には直接、病院のセキュリティを高める働きがあります。 意識的に挨拶を習慣づけたある病院では、朝、診察を開始する際に看護師が、「 おはようございます。◯月〇日、〇〇科外来です。〇〇医師による診察は5 分後に始まります。よろしくお願いいたします」 と待合室の患者さんに声を掛けるようにしました。するとどうでしょう、長年の悩みであった待合室や病室での盗難事故が激減したそうです。病院スタッフと患者さん、そのご家族らが周囲に目を配る環境では、不審者による犯罪が起きにくいのです。

挨拶の意外な効用には「離職率の低下」もあります。相手への関心はやがて自分の毎日も楽しくしてくれます。人が職場を去る理由のトップはもちろん「人間関係」です。挨拶をしあい、部署を超えて互いが互いに興味を示す環境であれば、ナイーブな若手でも煮詰まることなく毎日をすごせるのでしょう。

医療事故や院内犯罪を防ぎ、雰囲気を明るくし、職員の定着率も上がる。これが挨拶の効用です。コストをかけずに病院に好影響を与えること、間違いありません。その日から始められる、小さくとも前に進む一歩です。