第7回
患者満足度調査は誰にするのか?
前回『患者との接点を考えて設問をしましょう』ということを書きました。
患者満足度調査の患者は、顧客です。
患者満足度調査は、今更ですが顧客満足度調査の一つです。
では自分たちの病院の顧客は誰かを考えましょう。
入院生活の快適さや、外来診療の満足度も満足度を調査する大きな要因です。
しかし、もう一つわたくしたちが忘れてはならないのは、だれがその患者を連れてくるかです。
例えば、重篤の救急患者は自分の意志とは関係なく病院に連れてこられます。
施設から搬送されてくる患者の多くは、自分の意志よりもむしろ提携施設や施設の職員に連れてこられます。
つまり、顧客は患者だけではなく、救急隊員、患者を搬送してくれる施設の職員、患者を紹介してくれる急性期病院の担当者も実は大切な顧客なのです。
たとえグループの病院で、患者を搬送せざるを得ない環境であっても、
「気持ちよく紹介してくれる病院」か、「いやいや紹介する病院」か。
そもそも身内が紹介したくない病院を、他の施設の人が進んで紹介したいと考えるでしょうか?
グループの施設の職員は、自分たちの大切なご入居者に誇りをもって紹介できる病院の一員であるかそうでないかで、施設の職員のモチベーションも変わっていきます。
だからこそ、グループの頂点である病院が、謙虚に声を聴かなければならないと私は考えます。
身内が誇れる病院は、自然に他の施設にも誇りことができます。そのことは必ず口コミで他の施設にも伝わります。
上のように「患者」の概念を拡大するといろいろと今の満足度調査は不足している項目が多いと感じませんか?
つまり満足度調査の項目は、患者(顧客)が病院と接点を持つすべての点を挙げていかなければ本当の意味での調査にならないと考えます。
紹介される場合の業務フローは、紹介されやすいものだろうか?
電話の応対はどうだろうか?
搬送してもらった時の職員への対応はどうだろうか?
受け入れた後の連絡体制はどうだろうか?
退院手続きは?
いろいろな項目が加えられます。
アフターコロナでもやはり多くの患者の心の中には「病院は危険なところ」「あまり行きたくないところ」というイメージが強く残ると思います。
つまり、今までと違うトラフィックで来院、入院する患者の確保が安定しなければ、患者数の安定確保も困難になる病院も出てくると思います。
ピンチはチャンスの入り口と考えて、今の病院の状況を可視化する調査をお勧めします。