第2回
患者の期待を知る方法(患者満足度調査の位置づけ)
前回、患者の期待はそれぞれが違うということを書きました。では患者の期待を知る方法についてお話しします。
皆さんの病院の多くは、患者満足度調査をしていると思います。うまく活用できていますか?この質問をすると、調査していることは知っているがよく見ていないという回答が多いようです。皆さんの病院はどうですか?職員の皆さんに訊いてみてください。外注するにしても、内製するにしても、費用と時間をかけて調査するわけですから利用しないのは非常にもったいない。病院を良くしようという思いで、一生懸命回答くださる患者さんに最も失礼です。
もし十分に活用できていないとすればその理由を考えなければなりません。患者満足度調査の目的は何でしょうか?今更こんなことをと、思われるかもしれません。「患者サービスを良くするためだ」と言う声が出てくるようです。しかし最近疑問に思います。
そのきっかけは昨年度国立病院機構さんの患者満足度調査についていろいろと考える機会を頂くことができたことにあります。「職員が改善できる満足度調査とは?」という命題を頂き、いくつかの病院を回りました。その時に口をそろえて「調査結果って見難いの」「具体的に何を改善すればよいか明確ではない」と、おっしゃったのです。皆さん満足度調査の結果は気にしている、しかし結果報告は難しく、具体的な改善策を立てることができないので、結局何も改善できないままになっているという現実がありました。そしていつのまにか毎年調査をすることが目的になり、徐々に形骸化していかざるを得ない結果になったのではないかと思います。
図を見てください。わたくしが今思う患者満足度調査の位置づけです。この図は以前にも何度か紹介した、「ドラッカー5つの質問」の関連を示した図です。私たちは組織の理念を達成するためにいろいろなことを実行しています。満足度調査だけでなく、治療や看護といった皆さんが提供している専門スキルも理念達成のために提供されるツールの一つなのです。
患者満足度調査というツールは、職員が患者目線の業務改善を実行しやすくするツールだと考えます。だからこそ、直接顧客は職員であり、職員が簡単に理解し、利用できるものでなければなりません。職員に分かりやすいアウトプットを行い、その結果、職員が主体的に業務改善に結びつくことこそが職員がゲットできる価値ではないかと考えます。つまり患者満足度調査は、言うまでもなく目的ではなく、患者との良好な関係をつくるツールなのです。
次回は、もう少し具体的に患者満足度調査について考えていきます。