コラム

第4回
『患者満足度調査』の活用法

「患者満足度調査」があまり利用されない理由 :2



私たちは、過去5年間約150病院の患者満足度調査の結果を調べると5段階評価の場合最低の1と2がついている割合は5%未満であり3の普通を含めても30%程度でした。
つまり4と5が約70%を占めていることになり、その結果「満足」と「やや満足」を合わせて全体の患者の75%を占めています。
だから多くの患者は「当院に満足している」と言う結論に達しています。
あるいは4.2だから満足しているんだ、3.9だからもう少し頑張ろうというコメントをしています。
一方職員の肌感はどうなのでしょうか?
満足度調査をする前の職員のコメントは「3くらいかな?」「もっと低いのでは?」と言う感想を聞きます。
その結果、「案外良い評価なんだ」と「そんなことはないだろう」という2種類の感想が出てきます。
前者は今のままでいいんだという気持ちに動き、後者はこの調査は信用できないという気持ちが出てきます。
その結果、職員の中で患者満足度調査に対する疑問が出てきます。
もう一つの要因は患者満足度調査の持つ不確定さです。一般のレストランやホテルで実施されている「顧客満足度調査」と比較してみましょう。

上の表をみながら説明しましょう

レストランやホテルで行われている調査の場合、顧客層はある程度絞られてきます。ビジネスパーソンを中心にしているホテルは、「出張に利用するホテルとしての調査」であり、家族旅行をターゲットにしているところは、「休日に家族で楽しめる調査」とある程度顧客層が絞られ、顧客の目的がはっきりしているために評価規準が絞られています。しかし、医療機関では、顧客である患者は様々な目的を持っているために、同じ入院環境であっても患者のバックボーンによって評価基準が違います。
一般的な調査では、調査項目は限られてきます。せいぜい5~10程度です。ところが、医療機関は一人の患者に何人ものそして、色々な職種の職員が携わっています。そして業務は一般企業と比較できないほど複雑かつ多様です。
調査時期も一般企業の場合は、定点観測ではなく、年中実施しています。その結果評価のブレが少なくなります。
しかし、多くの医療機関の患者満足度調査は、定点観測であり、その瞬間の気持ちであることが多く、時期によって、また同じ人でもその日の気分によってぶれが大きいと考えられます。
実施と評価者は多くの一般企業は第三者機関、もしくは経営者直轄の部署で実施されており、一般の社員がたとえ管理職であっても調査の過程には入ることができません。
しかし、医療機関で実施されている「患者満足度調査」は職員が実施しているところが多く、職員の感情が入る余地が大きいと思われます。

以上が、患者満足度調査があまり信用できないのでないかと職員自身が考える利用です。
では、どのような「患者満足度調査」が良いかを次回から考えていきましょう。