コラム

第6回
患者満足度調査の設問の作り方

私たちがお世話になっているある療養型病院での取り組みで最近の出来事をご紹介します。
先日職員の応対をチェックするためにOJTにて当社のインストラクターが院内に入り
見舞い客の、取引会社の人、他施設の方の訪問時の導線を確認することになりました。
新型コロナ感染拡大防止のために動きはかなり制限されていて見舞い客も非常に 少ない中で実施することに、本当に満足いくことができるのかどうか不安でした。

しかし、その不安は杞憂に終わりました
それどころか今のこの時期こそ、病院改革に最も適した時期ではないかとさえ感じました。
掲示物はもちろんのこと、受付カウンターの整理整頓、様々なお知らせパンフレットの置き方、 さらには外から見える事務所の整理整頓等。
家族が来院されるときに目にするであろう箇所や観葉植物の管理状態や置き場所まで チェックしました。
よく患者満足度調査といえば、職員の言葉遣いや立ち居振る舞いの焦点が 絞られていることが多いようです。
実はそれ以上に気を付けなければいけないことは環境の整備なのです。
「一事が万事」「細部に神宿る」ということわざがあるように、書類の置き方や掲示物の管理棟本の ささやかなことで人は評価するのです。

皆さんも経験がありませんか?
レストランに行って観葉植物の元気がなかったり、カウンターが整理されていなかったり、 そんな状況に期待を裏切られた気持ちになった事がありませんか?
そのときの印象は時には食事の味にも影響する可能性があるのです。
つまり患者満足度は、患者、家族が病院との接点すべてを考える必要があるのです。
駐車場に入るところから出るまでの接点すべてを患者になって病院を回ってください。
そしてそのうえで、現場で働いている職員と検討ください。
患者は直接の対応だけでなく、すべての接点で病院を評価しているのです。
そして全く診察や看護と何の関係もなさそうなことが、実は本来の業務に対する評価に 大きな影響を及ぼすことがあります。
かなり前ですがハーバードビジネスレビューで「メイヨークリニック」のことが紹介された論文の中で 以下のようなエピソードがあったことを思い出しました。
経理担当の本部職員の靴の紐がほどけていることを注意したときに、その職員は
「私は経理だからほとんど患者の対応することはありません、だから靴の紐くらいはいいのではないか」といったそうです。
その時に「確かにそうかもしれない。ただ君は病院を移動することが日に何回かある。
その時何人もの患者とすれ違う。その時に君の靴の紐に気づいた患者はどう思うだろうか?
患者は医療については素人であり、わたくしたちがどのような高度な医療を提供しているか正確には 知らない。ただ、君の靴の紐がほどけていてだらしなく感じることはできる。
靴の紐さえ結ばない病院の医療はどうなのだろうか?と評価されるのだよ」 といったそうです。
このように時期だからこそ患者満足度の設問を患者と病院の接点を見直すことができる機会かもしれません。