第3回
『患者満足度調査』の活用法
「患者満足度調査」があまり利用されない理由 :1
前回「患者満足度調査」は、患者ではなく職員のためにしているということを述べました。
それではそのことについてもう少し考えていきましょう。
「患者満足度調査」は2つの役割を持っていなければならないと思います。
まず1つ目に『通知表』としての役割です。
私は、患者の評価こそが定期的に知らなければならない通知表であると考えます。
病院は、高度なスペシャリスト集団であり高度なスキルを患者に提供をしています。
それと同時に非常に対人的要素が高い業務であり、病院の職員は高い専門性と、高いコミュニケーションスキルが求められている職種であるということです。
だからこそ高い専門スキルを的確に患者に説明して、納得して治療や看護を受けてもらわなければならずそして極めて属人的になる可能性がありサービスの提供者と受給者の距離が近ければ近いほど、個人の印象が大きく左右いたします。
さらにそれは個人の印象が、病院の評判を決める大きな要素となります。
だからこそ、病院全体で医師の対応の良し悪しを言ってもあまり意味がないと考えます。
2つ目は、業務改善の出発点としての役割です。
患者が病院のどの部分に不満(期待外れ)を感じているかを可視化し、改善策を考え実行しなければならないのです。
しかし多くの職員は、患者満足度の結果さえあまり見ていないことが多く、自分たちの評価がどのようになっているかさえもあまり興味がないのが現実なので、
・「結果と現実が違っている」
・「どこを改善すればよいかがわからない」
というような声がよく聴かれます。
またある人は、今年は「4.1から4.3ポイントに上がった」と報告を受けたが、なぜ上がったかわからない、という声もあります。
多くの費用と時間をかけているにもかかわらず、当の職員の意識があまり積極的でないのでは、実施していることが目的になってしまっているような気がします。
そのため「患者満足度調査」の目的はあくまで、職員の「通知表」と、「業務改善の出発点」でなければならないと考えます。
そして「患者満足度調査」は、職員のための実施、つまりは業務が改善してこそ、患者が喜び、患者に感謝され、そしてそれらが職員満足度を上げていくのです。
「患者満足度調査」のためにシステムを組んで、多くの費用をかけいろいろと分析されている病院も多いと思います。
それはとても素晴らしい事であると思いますが、職員が活用できない、職員の興味がわかない「患者満足度調査結果」になっていませんか?
「患者満足度調査」の目的はあくまで、患者が考えている職員の通知表と、改善しなければならないことが可視化できる出発点であることをご認識ください。