第11回
マニュアルの必要性
考えたでしょうか?このようなマニュアルを作ることには賛否両論があります。以前マニュアル作成をご提案した病院で「外食産業じゃない」「マニュアルでは心がこもらない」と言われたことがあります。でも作りながらどのような気持ちになったでしょうか?よくディズニーランドの接遇について研修で聴かれることがあると思います。私は前の職場で、ディズニーランドが設立した直後にある仕事で携わったのですが、実は、何万ページにもわたるマニュアルが存在しており、それを基本に何度も何度も研修をして習得しています。その結果あの素晴らしい感動を呼ぶ隻脚ができるようになるのです。
では、前回の対応の一例をあげます。
対応例(白石看護師に対する苦情) 研修資料
言葉 | 同左、注意 | |
---|---|---|
患者家族 | おい、病棟の看護師の対応が悪い。お宅の看護師の教育どうなっているのだ! | 立ち上がる |
あなた | 病棟看護師の対応ですね?私、西病棟の看護師の湯本と申します。よろしければ、詳しくお話いただけませんか? | はっきりと自分の名前を名乗り、訊く姿勢をとる。 |
患者家族 | 病棟に白石という看護師がいるだろ。あの人の言葉使いがなってないんだ。 | |
あなた | 病棟看護師の白石ですね。白石の言葉使いが悪いのですね。 | 復唱する |
患者家族 | そうなんだ。母親に対する言葉使いがなっていない。まるで子供に話すように話しかけている。例えば、食事の時は『はーい。お食事でちゅよ』とか、おむつ交換の時も『はーい。おしめ交換しましょうね。気持ちいいでしゅね』とか、あんな対応だったら、本当に母を安心して入院させられないよ。 | うなずきや相槌を交えて話を聴く |
あなた | 大変申し訳ございません。白石がお母様に対して、そのような言葉使いで対応していたのですね。 | 謝罪する |
患者家族 | 私が言ったこと白石さんに伝えるの?そんなことすれば、母がいじめられるかも知れないから困る。 | |
あなた | そうですね。お気持ちよくわかります。あくまでお名前をふせて患者さんに対する言葉使いについて、上司から注意させるようにいたしますので、ご安心ください。 | ここでも、相手の気持ちに寄り添う。 |
患者家族 | そうなんだよ。確かに今の母は少し認知が進んでいるけど、現役時代は中学の教師ですごくプライドが高いんだ。それをあんな扱いをうけて、内心は母がどの様に思っているかを考えると悔しいやら、情けないやら・・・・。ここの看護師はみんなあんな感じで患者と接しているのか? | |
あなた | つらい思いをさせて申し訳ございません。お母様もきっと悔しい思いをされていると思います。 早速私が白石の上司にこのことを報告しまして、上司から注意をさせて改善させます。もしよろしければ、お母様のお名前と病棟を教えていただけませんか? |
相手の気持ちを言葉で表現する。解決策を言うが、ここで、個人ではなく、上司に伝える事で、組織として対応することを表明する。「白石に伝えて」は、絶対に言わないこと。 |
患者家族 | それなら、西5病棟に入院している黒田です。母の名前は加代子です。 | |
あなた | 西5病棟に入院されている黒田加代子様ですね。すぐに上司に伝え改善させます。万一2,3日して改善していないようでしたら、黒田様お手数ですが、もう一度私までお伝え願えませんか? 私は、外来湯本です。黒田様には不愉快な思いをさせまして大変申し訳ございませんでした。 |
自分が責任を持って本件に対応することを伝える。そのことによって信頼感が増す。 |
患者家族 | よろしくお願いします。 | |
あなた | ほんとうにありがとうございました、なにかあればまたいろいろと教えてください。 | 最後に深くお辞儀をする。 |